特殊詐欺や悪質商法などの被害に遭わないようにするための取組みは盛んに行われていますが、依然認知件数・金額共に高水準で推移しています。特に東京、神奈川の状況が深刻です。被害に遭うと経済的損失以外に、その後の家族との関係や生活・身体面にも影響を与えてしまいます。

代表理事

「被害に遭う人に問題がある」「自分はだまされない」という考えは間違いです。だます側の心理を突いた巧妙な手口の前では、高齢者に限らず誰でもだまされるといっても過言ではありません。加齢と共にその危険性は増し、他人事では済まされません。過信せず、手口を知って策を講じておくことが必要です。また、もし被害に遭っても自分を責めたり恥と思わず早めに公的機関に相談することも重要です。未然に撃退した方も、鮮度の高いうちに公的機関に情報提供しましょう。被害回復の可能性が高まるだけでなく、第2、第3の被害者を出さないための対策にもつながります。

犯罪被害には、認知件数と暗数(警察等の公的機関に認知されていない犯罪の件数)があるといわれていますが、被害を警察や消費生活センターなどの公的機関に相談する、あるいは知らせる人は決して多くはありません。その背景には公にすることは恥、自分が悪いから、仕返しを恐れるなどの理由や、認知などの問題から本人がだまされていると気がつかない、あるいは身体的理由から相談できないことなどが考えられます。この場合には、本人以外の家族や周囲の気づき、コミュニケーションが支援の鍵となります。

家族や誰にも相談できないでいるシニアの方々への支援、認知症などの問題から本人だけでは自衛ができない方を継続的に見守っていく仕組み、それらが求められる一方で行政でできる支援は限られています。そこで高齢者と公的機関をつなぎ、その後も継続的に見守っていく仕組みができないかと考え団体を立ち上げたのが端緒でした。

社団の活動ももうすぐ4年目に入ります。固定電話に取り付ける自動通話録音機の無料貸与、詐欺被害撲滅のための講演・講話活動、サポーター研修の企画に加え、2017年10月には文部科学省所管の公的研究開発プロジェクト(JST/RISTEX)の採択に伴い、助成金を得て地域で高齢者への啓発イベントや見守る仕組みづくりなど、取り組みを広げています。小さな一歩でも継続していけば、やがて大きな変化につながることを願いながら活動を進めています。

代表理事 岩田美奈子
平成30年

プロフィール

・筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程修了(修士)
・ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)卒業
・日本心理学会&日本カウンセリング学会会員
研究論文のリンクページはこちらから
タイトル「高齢者の詐欺被害における相談行動抑制の心理的要因ー相談しない傾向ー」
・消費生活相談員(国家資格)・消費生活アドバイザー・宅地建物取引主任士・産業カウンセラー